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特集:パトリオットパフォーマンスマテリアル

パトリオットパフォーマンスマテリアル取り扱い記念特集

プレートキャリア

中国の故事「矛盾」の例えにもあるように武器、防具は互いの性能を上回る為の競争を常に繰り広げてきた。過去に比べ兵士のサバイバビリティ(生存率)に配慮がされるようになった現代も防護装備と銃器の飽くなき性能競争が続いている。
現代正規軍の中で米海兵隊はいち早く歩兵に「防護装備」を正式支給している。 朝鮮戦争時、米海兵隊は野戦用ボディーアーマーを採用し兵士に支給した。
当時のボディーアーマーは砲弾、航空爆弾、手榴弾の破片から兵士を守る目的で開発されたもので、銃弾からの防御は考慮されていなかった。(冷戦期に想定されたヨーロッパ平原での戦闘は従来型戦闘が予想され歩兵にとっての脅威は銃弾よりも砲弾、航空爆弾であった) 建国から(正確には建国以前から)戦時体制にいるイスラエルは各国に比べて早い段階でボディーアーマーを採用、支給している。 周辺を敵性国家に囲まれているイスラエルは兵士の生存率向上にいち早く注力しており、有名なメルカバ戦車もサバイバビリティに配慮がなされた珍しい戦車である。

米国がボディーアーマーと装備を別体で使用していた時期、イスラエルでは現場兵士のアイディアから生まれたユニークなボディーアーマーが使用された。 イスラエルは歩兵装備に先見の明があり1980年代初頭には一体型装備、ロードベアリングベスト(EHODベスト)が正式採用している。通常、兵士はボディーアーマーの上からEHODベストを装着するが、現場兵士は装着の煩わしさからEHODベストのマガジンポーチやユティリティーポーチを切断し直接ボディーアーマーに縫いつけ使用し始めた。正規に採用された装備ではないがこの改造は現場兵士に好まれ当時の写真から多く確認ができる。
ペレス首相の南レバノン訪問を警護した兵士が同改造を施したボディーアーマーを着用していた事が確認できる。軍では同種の装備への改造が黙認されていたものと思われる。 1982年のイスラエル軍レバノン侵攻は、過去にイスラエルが経験した戦闘とは大きく異なっていた。レバノンにおける敵対勢力ヒズボラは市街地においてゲリラ戦を展開。 数次に亘った中東戦争のような機甲戦と異なる市街戦に対し、イスラエル軍は少人数チームによる住宅掃討戦を余儀なくされた。 砂漠の戦闘と異なり銃撃戦は3メートル足らずの至近距離で行われる事も多く、 兵士の受傷率は上昇。従来のボディーアーマーでは防御力が不十分であった為、 ハウスクリアリングチームにはケブラー繊維を樹脂によって固形化したプレートを内蔵した「バリスティックアーマーベスト」が支給された。 このベストの構成は前後のプレートをショルダーベルト、ウエストベルトで連結したもので現在使用されている「プレートキャリア」の原型といっても良いものである。 ベスト後部にはキャンティーンポーチ、ラジオポーチが縫いつけられていた。

防弾プレートの性能は急速に向上し素材もセラミックが採用されるなど、サイズ、重量とも個人装備として申し分の無いものとなった。米軍でも湾岸戦争前にハードプレートを備えたボディーアーマーが採用されるが、短期間で地上戦が終結し、激しい銃撃戦が少なかったため兵士の間では「ありがたみ」の少ない装備であった。 (映画「ブラックホークダウン」でレンジャー隊員が重量軽減の為にPTアーマー後面プレートを外すシーンは当時の兵士のアーマーに対する考えを表している) イラク戦争以前、ハードプレートを備えた防護装備は軍よりも近距離における銃撃戦が多い警察SWATに注目されていた。

状況はイラク戦争で一変する。緒戦からの流れが嘘のように、戦闘終結宣言後イラク駐留アメリカ軍死傷者は増加して行く。死傷者増加は戦闘が主に市街地で行われ、近距離での小火器同志の銃撃戦、待ち伏せ攻撃が多かった為であり、米軍が得意とする空陸一体の支援体制が機能しなかった事に一因がある。 古典的と言っても良い小火器同志の銃撃戦で米軍兵士の脅威となったのが敵が使用する銃器、AKである。 総合的な性能は米軍のM16、M4より低いと言われていたAKシリーズだが、命中精度の影響が無い近距離戦ではそのパワーを遺憾なく発揮した。そして武装勢力が多用するPK、PKMマシンガンはAKシリーズとは異なる高威力の7.62mm×54R弾を使用しており、 米陸軍、海兵隊が使用する防弾着インターセプターの性能を凌ぐパワーを有していた。

戦闘終結宣言後多くのPMCがイラクに進出してたが、軍と異なり自由な装備選択が 可能なオペレーター達は、7.62mm×39弾のストップが可能であるハードプレート内蔵の プレートキャリアを中心とした装備を持ち込んだ。 そしてPMCの多くは訓練プログラムを「商品」としていた為に、当世先端アイテムである ハードプレート使用を前提としたシューティングフォームや戦術を米軍よりも早期に 導入していた。PMCオペレーターの死傷者に関する正確な数値が明かでは無く、 米軍で行われている受傷に関する統計調査が無いために、どの程度ハードプレート装備に 有用性があるかの判断は困難であるが、現在のタクティカルギアメーカーのラインナップや製品開発を見るに現場の需要が強い=「効果的」な装備であると判断できる。 長期化するイラク戦争により米軍兵士の受傷に関するデータが蓄積され、イラク特有の状況が明かになってきた。 大規模部隊同志の戦闘と異なり、治安維持活動(パトロール)と索敵が主となる為に 待ち伏せ(アンブッシュ)される機会が増加。側面、背面の受傷が多く、車両乗車時の側面からの攻撃では致命傷に至る大腿部受傷が増加した。また主にパトロールで使用される車両ハンビーのガナーは上半身を車外に晒している為に脇腹、首、頭部の受傷が多い。 米軍で支給されている防護ベスト「インターセプター」にネックガード、アームガードが追加支給されている事からもその状況が伺える。 米軍装備の動きを受けて民間タクティカルギアメーカーも首、脇腹、肩口を防護する オプションをリリースしており、PMCオペレーターの使用も目立ってきている。 ベースボールキャップを被り軽装のイメージが強いPMCオペレーターだが、車列警護では民生品のPASGT(フリッツ)ヘルメットを着用する事が多く、カムフラージュ服を着ていない事を除けば、正規軍兵士と変わらない装備を身に付けている。 現在のイラクの状況は「矛盾」の只中であり、タクティカリギアメーカー、銃器メーカーにとっては差し詰め実験場の様相を呈している。

パトリオットパフォーマンスマテリアル

特殊部隊隊員の特別な要求に対応可能な装備開発を目指し、元陸海軍特殊部隊隊員を迎え創設されたのがパトリオットパフォーマンスマテリアルである。(以下PPM) 「以前はTASの名称でタクティカルギアの製造販売を行っていた」と紹介されることが多いが実際はPPM社がTASを吸収合併したのが実情である。 PPM社はタクティカルギア製造販売以外に、トレーニング及びトレーニングコンサルティング、車両装甲の開発製造も行う総合軍需メーカーとなっている。

TASのタクティカルギアリリースは比較的早く、米軍のMOLLE装備採用に呼応している。その為に同社製造のMOLLEギアはMOLLE装備専用アダプターである「マリスクリップ」を使用するものとなっている。現在のPPM製品も同スタイルを取っている。 PPM社は車両装甲製造で得た技術をタクティカルギア用ハードプレートアーマーにも生かしておりAK、PKM、ドラグノフの銃弾をストップするLEVEL 3 Mサイズプレートの重量が約2kgと他社製品よりも軽量化に成功するなど同社の製品でも中核を成すものとなっている。

多くのタクティカルギアメーカーがそうであるようにPPM社も冒頭に述べたように元特殊部隊員を迎え製品開発に現場の要求を反映させる努力を行っている。「現場の意見」とは 実際に使用する兵士の意見の場合もあるが、これを一つ一つ拾い上げるのは大変な作業となる。意見が幾つにも登り焦点が絞り難くなるという欠点があるのは否めない。 「当社は元特殊部隊隊員を社員に迎え、過去の経験で得た貴重なデータを製品開発へ役立てている」 これはタクティカルギアメーカーの決まり文句となっており特に珍しい話では無いが、 実際にどの様な人物が携わっているかはメーカーが公開しない限り不明である。 ミリタリーショップ パラベラムがPPM社との取引するに当たって窓口となった人物がいる。 仮に彼をM氏と呼ぶ事にする。M氏との交渉が最終段階に差し掛かった時、突然M氏は自身のプロフィールを我々に公開した。それは驚くべき内容であった。 我々が目にしたM氏のポートレート写真で氏は米国陸軍の制服を着用。左胸には6段に及ぶ数多くの略綬章と、歩兵戦闘章、マスターパラシューティスト(上級空挺技能)章、 パスファインダー(空挺降下誘導)章が輝いている。左腕には通称グリーンベレーとして知られる米陸軍特殊部隊章が着けられている。M氏の階級章を見ると一つ星の少将。詳しい方はご存じと思うが特殊部隊における最高階級は大佐である。氏のプロフィールを見て理由が判った。 M氏は州立大学を卒業後、陸軍へ入隊。少尉に任官し当時の西ドイツへ赴任。3年間を情報担当将校として過ごし大尉昇進時、特殊作戦学校へ入校。特殊部隊の名門とも言うべき第5特殊部隊チームリーダー、第5、第7特殊部隊司令官を経て最終的には、海兵隊を除く3軍特殊部隊統合司令部 US SOCOM政策・訓練・準備センター長官を務め、つい最近退役している。M氏が少将の階級章を着けていたのはUS SOCOMのセンター長官階級が少将である為である。

経歴から判るようにM氏は冷戦最中に任官、ソビエト正面のドイツで情報担当を務め、 レーガン大統領の「パクスアメリカーナ」の時期に特殊部隊実戦指揮官としてスタート、9.11後US SOCOM対テロセンターに着任、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アフガニスタンの特殊作戦統合部で部隊の実行指揮を行ってきた人物である。ベトナム戦争以降の特殊部隊を知り抜いている人物といっても良いであろう。PPMにおけるM氏のポストは「副社長」である。M氏自身は階級から判断するに「弾の下を潜り抜けてきた特殊部隊員」では無いが長年、特殊部隊を率いて来た希有な人物である。またM氏のような人物は軍、通常では繋がりの持ちにくい特殊部隊に太いパイプを持つと思われる。自身が装備運用の経験が少なかったとしても多くのデーターを集める事は可能である。誤解の無いように申し添えるとM氏はUS SOCOMで装備調達、訓練を司るセンターの長官であった。装備に関しても「プロ」なのである。

PPM社製品はM氏のような人物の意見が生かされたものである。 ミリタリーショップ パラベラムはPPMとの交渉の中で通常では接点を持つ事が考えにくい人物と交流が持てた事を同社製品取扱い開始と同じように嬉しく思っている。

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